位相空間を様々な方法で定義する(その 5)

閉包作用子を与えることによる定義(別法)

閉包作用子を与えて位相を定める方法としては、別の方法があります。その前に、一般に X に開集合系が与えられているとして、次の事実を証明します。

定理

\bar{M^c}=(M^\circ)^c

証明

M^c\subset (M^\circ)^c だから (M^\circ)^cM^c を含む閉集合である。A閉集合M^c\subset A とする。このとき A^c\subset MA^c は開集合であるから A^c\subset M^\circ である。したがって (M^\circ)^c\subset A である。つまり (M^\circ)^cM^c を含む最小の閉集合である。よって (M^\circ)^c=\bar{M^c}

ここで閉包作用子を a、開核作用子を i と書くことにすると
M^{ca}=M^{ic}
と表せます。

これを逆手にとって、閉包作用子 a が与えられたとき、開核作用子 i
i=cac
で定義すると、これは開核作用子の性質を満たすことが分かります。実際

  1. X^i=X^{cac}=\emptyset^{ac}=\emptyset^c=X
  2. M\subset M^a だから M^c\supset M^{ac}MM^c に置き換えて M\supset M^{cac}=M^i
  3. M\subse N ならば M^c\supset N^c、よって M^{ca}\supset N^{ca}、もう一度補集合をとって M^i=M^{cac}\subset N^{cac}=N^i
  4. (M\cap N)^i=(M\cap N)^{cac}=(M^c\cup N^c)^{ac}=(M^{ca}\cup N^{ca})^c=M^{cac}\cap N^{cac}=M^i\cap N^i
  5. ii=(cac)(cac)=caac=cac=i

なので、i は開核作用子の性質を満たします。このようにして定義された開核作用子から開集合系を再現すれば、やはり位相構造が得られます。