位相空間を様々な方法で定義する(その 6)

近傍系を与えることによる定義

今、X の各点 x に対して、空でない \mathcal{P}(X) の部分集合 \mathbf{V}(x) が与えられていて、次の性質を満たすものとします。

  1. 全ての V\in\mathbf{V}(x) に対して x\in V.
  2. V\in\mathbf{V}(x)V\subset V' ならば V'\in\mathbf{V}(x).
  3. V_1,V_2\in\mathbf{V}(x) ならば V_1\cap V_2\in\mathbf{V}(x).
  4. 任意の V\in\mathbf{V}(x) に対して、次の条件を満たす W\in\mathbf{V}(x) が存在する : W の任意の点 y に対して V\in\mathbf{V}(y).

これらの性質をもとに、開集合系 \mathcal{O} を定義します。O\in\mathcal{O} であるとは
x\in O\Rightarrow O\in\mathbf{V}(x) … (*)
であることと定義します。

O\in\mathcal{O} の定義から直ちに \emptyset\in\mathcal{O} です。一方 x\in X に対して、\mathbf{V}(x) は空ではないからある V\in\mathbf{V}(x) が存在し、V\subset X だから X\in\mathbf{V}(x) です。したがって X\in\mathcal{O}.

O_\lambda\in\mathcal{O}(\lambda\in\Lambda) とし、O=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}O_\lambda とします。O=\emptyset なら問題ないので O\neq\emptyset とし、x\in O とします。このとき x\in O_\lambda となる \lambda\in\Lambda が少なくとも一つ存在して O_\lambda\in\mathbf{V}(x). O_\lambda\subset O だから O\in\mathbf{V}(x)、よって O\in\mathcal{O}.

O_1,O_2\in\mathcal{O} とします。O_1\cap O_2=\emptyset なら問題ないので O_1\cap O_2\neq\emptyset とします。このとき x\in O_1\cap O_2 とすれば x\in O_1 より O_1\in\mathbf{V}(x). 同様に O_2\in\mathbf{V}(x). よって 3. により O_1\cap O_2\in\mathbf{V}(x). したがって O_1\cap O_2\in\mathcal{O}.

以上により、\mathcal{O} は開集合系の性質を満たすことはわかりました。今度は、この開集合系から定義した近傍系が、最初に与えたものと一致することを見る必要がありますが、それはまたの機会に。