Affine 平面(その 4)

Affine 平面の次数の定義

いよいよ Affine 平面の次数の定義のために重要となる定理を示します。

定理 1

Affine 平面上のいかなる直線も、その上にある点の数は同じである。
(証明)
Affine 平面上の任意の異なる 2 直線 l , m を与える。
i) l と m が平行でない場合
このとき、l と m の交点を q とし、命題 1.5 により、l 上に q と異なる点 p を、m 上に q と異なる点 r を取ることができる。p , q , r は同一直線上にないので、命題 1.3 により、点 s で、p , q , r , s のどの 3 点も同一直線上にないようなものが存在する。
l 上の q と異なる点 x_1 があったとすると、これに対応して m 上の点 y_1 が取れることを示そう。x_1 を通り m に平行な直線 m_1 を取る。直線 qs は m = qr と平行でないので、m_1 とも平行ではない。したがって、qs と m_1 の交点が存在するので、それを z_1 とおく。そこで、z_1 を通り l に平行な直線 l_1 を引けば、これは m と平行でないから交点が存在する。それを y_1 とおけば、これが x_1 に対応する m 上の点である。同様に、l 上の q とも x_1 とも異なる点 x_2 があれば、それに対応してできる z_2 は平行の定義から z_1 とは異なり、したがってそれに対応して現れる m 上の点 y_2y_1 とは異なる。
以上により、l の各点に対して m の各点が 1 対 1 に対応するから、2 直線の上には同じ数だけの点が存在する。
ii) l と m が平行のとき
l 上に点 p を、m 上に点 q を取る。l 上の p と異なる点 x を取ったとき、x を通り pq に平行な直線を n とすれば、n は m と平行でないから、交点 y を持つ。i) のときと同様の議論で、l 上の異なる点に対しては m 上の異なる点が対応するので、やはり 2 直線の上には同じ数だけの点が存在する。

定理 1 により、Affine 平面においては、直線の上に存在する点の数は常に一定*1であることがわかります。その数を n とするとき、これを n 次の Affine 平面 と言います。

Affine 平面上の点の数

次は Affine 平面上の点の数を特定することにします。

命題 2

n 次のAffine 平面上の直線に対し、その直線に平行な直線は自分自身を含め n 本ある。
(証明)
Affine 平面上の任意の直線 l を取り、l 上の点 x_1 を取る。命題 1.3 により、Affine 平面上の全ての点が同一直線上にあることはないので、l 上にない点 q を取ることができる。すると、公理 2 により l に平行で q を通る直線が 1 本だけ存在する。今、直線 qx_1 を考えれば、この直線上には x_1 と q = x_n を含め、n 個の点 x_1,\dots,x_n が存在するから、x_i を通り l に平行な直線 l_iが存在する*2。l に平行な直線は直線 qx_1 と必ず交わるので、これら以外に l に平行な直線は存在しない。

定理 2

n 次のAffine 平面上にはちょうど n^2 個の点が存在する。
(証明)
Affine 平面のある 1 点を p とすると、命題 1.4 により、p を通る 2 本の直線 l , m が存在する。そして、命題 2 により、そのそれぞれに平行な直線 l_1=l,l_2,\dots,l_n,m_1=m,m_2,\dots,m_n が存在し、l_im_j は平行ではない。こうして、平行でない直線同士の交点が n^2 個出来上がる。もし Affine 平面がその他に点を含むとすると、その点はどの l_i,m_j 上にも無いので、その点を通り、l ないし m に平行な直線が引けるが、これは命題 2 に反する。

次回は n 次の Affine 平面上の直線の数を特定します。

*1:当然無限個の場合もあります。Euclid 平面などはその代表例です。

*2:もちろん l_1 は l に他なりません。