最後に、予告通り Affine 平面上の直線の数について特定しておきます。
命題 3
n 次の Affine 平面において、一点を通る直線は (n + 1) 本存在する
(証明)
Affine 平面上の任意の点 p を取り、p と異なる点 を取る。このとき、公理 3 により、直線 上にない点 の存在が保障されるので、 を通り直線 に平行な直線を取り、l とする。l の上には を含め n 個の点 が存在するので、結局 p を通る直線 が作れ、これらはどの 2 本も互いに平行でない。これら以外に p を通る直線があるとすれば、それは l と交点を持つから、明らかに矛盾である。
定理 3.1
n 次の Affine 平面には n(n + 1) 本の直線が存在する。
(証明)
Affine 平面上には 個の点が存在し、その各点を通る直線は (n + 1) 本あるから、重複も含めて数えれば、直線の数は 本である。しかし、1 本の直線には n 個の点が存在するので、この数え上げは、1 本の直線を n 回重複して数えていることになるから、結局直線の総数は
となる。
定理 3.2
n 次の Affine 平面には、平行な n 本の直線の組がちょうど (n + 1) 個ある。
(証明)
命題 3 により、1 点を通る直線は (n + 1) 本あり、それらは互いに平行でない。したがって、その各直線に対して平行な n 本の直線の組が (n + 1) 個あり、n(n + 1) 本の直線が出来上がる。Affine 平面上にはこれ以上の直線は無いから、これが全てである。
定理 3.2 は、後ほど紹介する射影平面で必要になる定理なので、ここで証明しておきました。
以上、Affine 平面について簡単に述べてきました。もっとも分かりやすい Affine 平面は、体 K に対する です。今回は有限の場合に限って話を進めましたが、もちろん n が無限のとき(可算無限、非可算無限問わず)でも同じ議論が成り立ちます。特に有限 Affine 平面は、魔方陣と大いに関係があるのですが、その話はまた後日にしたいと思います。
参考書籍
- 作者: 佐藤肇,一楽重雄
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 1999/08
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る