Latin 方陣(その 2)

Affine 平面を利用して Latin 方陣を作る

実は、n 次の Affine 平面があれば、それをもとにして Latin 方陣を作ることができます。n = 4 の場合でちょっと試してみましょう。

実は、ちょうど 4 個の元からなる体 F_4 が存在します。これは、ちょうど 2 個の元からなる体 F_2 を係数にもつ多項式環 F_2[z] を、既約多項式 z^2+z+1 が生成する単項イデアルで剰余したもの、すなわち F_2[z]/(z^2+z+1) に他なりません。このとき
(F_4)^2=\{(x,y)|x,y\in F_4\}
は Affine 平面の公理を満たします。以下、F_4 における 0 , 1 , z の同値類を 0 , 1 , \alpha と書くことにします。

さて、今、(F_4)^2 の互いに平行な直線
L_1:y=\alpha x,L_2:y=\alpha x+1,L_3:y=\alpha x+\alpha,L_4:y=\alpha x+\alpha^2
を考え、それぞれの直線が通る点に、異なる記号を当てはめていくと
\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|}\hline\\\alpha^2&d&b&a&c\\\hline\\\alpha&c&a&b&d\\\hline\\1&b&d&c&a\\\hline\\0&a&c&d&b\\\hline\\&0&1&\alpha&\alpha^2\\\hline\end{\tabular}
となり、一つの Latin 方陣
\begin{tabular}{|c|c|c|c|}\hline\\d&b&a&c\\\hline\\c&a&b&d\\\hline\\b&d&c&a\\\hline\\a&c&d&b\\\hline\end{\tabular} … (1)
を得ます。同様に
{L_1}':y=\alpha^2 x,{L_2}':y=\alpha^2 x+1,{L_3}':y=\alpha^2 x+\alpha,{L_4}':y=\alpha^2 x+\alpha^2
を考え、それぞれの直線が通る点に、異なる記号を当てはめていくと
\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|}\hline\\\alpha^2&D&A&C&B\\\hline\\\alpha&C&B&D&A\\\hline\\1&B&C&A&D\\\hline\\0&A&D&B&C\\\hline\\&0&1&\alpha&\alpha^2\\\hline\end{\tabular}
となり、もう一つの Latin 方陣
\begin{tabular}{|c|c|c|c|}\hline\\D&A&C&B\\\hline\\C&B&D&A\\\hline\\B&C&A&D\\\hline\\A&D&B&C\\\hline\end{\tabular} … (2)
を得ます。