Latin 方陣(その 3)

Euler 方陣

さて、前回作った二つの Latin 方陣を重ね合わせてみましょう。このようになります。
\begin{tabular}{|c|c|c|c|}\hline\\dD&bA&aC&cB\\\hline\\cC&aB&bD&dA\\\hline\\bB&dC&cA&aD\\\hline\\aA&cD&dB&bC\\\hline\end{tabular}
aA,aB,aC,aD,\dots,dA,dB,dC,dD の 16 種類の記号が出てきますが、これらはちょうど 1 回ずつだけ現れています。このように、二つの Latin 方陣を重ね合わせたとき、相異なる記号の組が 1 個ずつだけ現れるとき、その出来たものを Euler 方陣と言い、また、重ね合わせに用いた二つの Latin 方陣直交すると言います。

Euler 方陣から方陣

上記の Euler 方陣をちょっと書き直してみましょう。
\begin{tabular}{|c|c|c|c|}\hline\\d+D&b+A&a+C&c+B\\\hline\\c+C&a+B&b+D&d+A\\\hline\\b+B&d+C&c+A&a+D\\\hline\\a+A&c+D&d+B&b+C\\\hline\end{tabular}
ここで a , b , c , d に 1 , 2 , 3 , 4 のいずれかを、また、A , B , C , D に 0 , 4 , 8 , 12 のいずれかを当てはめます。ここでは簡単に

a = 1 , b = 2 , c = 3 , d = 4 , A = 0 , B = 4 , C = 8 , D = 12

としましょう。すると
\begin{tabular}{|c|c|c|c|}\hline\\16&2&9&7\\\hline\\11&5&14&4\\\hline\\6&12&3&13\\\hline\\1&15&8&10\\\hline\end{tabular}
と、行・列・対角線の四つの数字の和が全て 34 になる、すなわち魔方陣が出来上がります。数字の当てはめ方を変えれば、違う魔方陣が出来上がります。例えば

a = 2 , b = 4 , c = 1 , d = 3 , A = 12 , B = 0 , C = 4 , D = 8

とすれば
\begin{tabular}{|c|c|c|c|}\hline\\11&16&6&1\\\hline\\5&2&12&15\\\hline\\4&7&13&10\\\hline\\14&9&3&8\\\hline\end{tabular}
と、やはり行・列・対角線の四つの数字の和は 34 になります。

一般に魔方陣と言えば対角線を考慮に入れないといけないので、Euler 方陣が即魔方陣につながるわけではありませんが、対角線の整合性が取れていれば、このように Euler 方陣から魔方陣を作ることができます。

参考書

幾何の魔術―魔方陣から現代数学へ

幾何の魔術―魔方陣から現代数学へ