級数と Lebesgue 積分(その 3・最終回)

さて、級数 \sum\limits_{n=1}^\infty a_n積分とみなすことにより、ルベーグ積分論における様々な結果が応用できます。例えば関数項級数の和として表される関数の連続性や微分可能性(項別微分定理)は優収束定理の特別な場合として、また、二重級数の和の順序の交換や関数項級数の項別積分定理はフビニの定理の特別な場合として、それぞれ認識できることになります。しかも、リーマン積分の場合よりもずっとゆるい条件の下で、それらが適用できるのです。
さらに嬉しいのは、ルベーグ積分は、応用上ほとんどの場合において、リーマン積分による積分の結果に一致します。計算上はリーマン積分を意識しながら、ルベーグ積分の良いところだけを取り入れることが出来るのです。こうしたことが、解析学の発展を支えてきたといっても、過言ではないでしょう。