Affine 平面(その 2)

直線に関する簡単な命題をいくつか見ておきましょう。

命題 1.1

2 本の直線は、交わらないかただ 1 点で交わるかのいずれかである。
(証明)
2 点以上で交わるとすると、その 2 点を通る直線は公理 1 によりただ 1 本のみであるから、2 本の直線は同一となって矛盾する。

次に、2 本の直線 l , m が平行であることを l\parallel m と表すとき、次の関係が成り立ちます。

命題 1.2
  1. l\parallel l
  2. l\parallel m ならば m\parallel l
  3. l\parallel m,m\parallel n ならば l\parallel n

(証明)

  1. 平行の定義より明らか。
  2. 平行の定義より明らか。
  3. もし l と n が共有点を持つならば、l\parallel mm\parallel n から、その共有点をとおり m に平行な直線はただ 1 本であるから l=n となり、定義により l\parallel n である。

さて、次の命題は Affine 平面を大きく特徴付けるものになります。

命題 1.3

Affine 平面にはある 4 点が存在して、そのどの 3 点も同一直線状にない。
(証明)
公理 3 により、同一直線状にない 3 点 p , q , r が存在する。p を通り、直線 qr に平行な直線を l とする。また、r を通り、直線 pq に平行な直線を m とする。l と m が平行だとすると
qr\parallel l,l\parallel m,m\parallel pq
から pq\parallel qr となり矛盾。したがって l と m は平行ではないので、ある 1 点を共有する。それを s とおく。
次に s , p , q が同一直線上にないことを示す。l = ps であるから、この 3 点が同一直線上にあるとすると、l は qr と q を共有することになるが、これは qr\parallel l に矛盾。同様に s , q , r も同一直線上にはない。s , p , r が同一直線上にあるとすると l = ps = rs = m となり、これも矛盾。したがって p , q , r , s はどの 3 点も同一直線上にはない。

以上のことから、Affine 平面は少なくとも 4 点を含むことがわかります。