さて、前回作った が、実は によらないことを示したいわけですが、そのために、もう一つ補題を示しておきます。
(証明)
を無限系譜とするとき、 も無限系譜となることは容易にわかります。よって
となるので、前回の補題の 2. により が成り立ちます。逆に とします。 を任意に取るとき、無限系譜 に対して であり、なおかつ は無限系譜となりますから、 です。従って の作り方から となり、特に です。 は任意だったので となり、 が成り立ちます。
以上のことから、任意の二つの無限系譜 に対して
が成り立つことになり、 は、実は によらずに定まる集合となります。これを改めて と書くことにします。
の作り方からわかるように、任意の無限系譜 に対して が成り立ちます。すなわち は、あらゆる無限系譜の中で「最小」のものであることがわかります。この の元に対して
と、「帰納的に」*1自然数を対応させることが出来ます*2。これで、「集合としての」自然数は、公理的集合論の中に埋め込まれました。しかし、まだ、大小関係や演算などの構造は埋め込まれていません。次回以降、それらの作業を行うことにします。