まぁ、公理的集合論などと言わずとも、自然数は確かに存在しているのですが、それを公理的集合論の中で扱えるように、公理的集合論の中に「埋め込む」作業を、今回はやってみようと思います。
まず
という論理式を用意しておきます*1。無限公理により、 が真となる集合 は少なくとも一つ存在します。 が真となる集合 を無限系譜と言うことにします。また
を満たす を無限樹と言うことにします。このとき、次の補題が成り立ちます。
- 補題
- を無限樹とするとき、次が成り立つ。
- は無限系譜。
(証明)
1. を一つとって
と表す。 は無限樹であるから
なので が成り立つ。よって . また ならば、定義により であり、 が無限系譜であることにより となるから となる。よって は無限系譜。
2. を一つ取る。 故 であるから
である。 故
であるから .
さて、 を無限系譜として
とおくと、ベキ集合公理と分出公理図式により、これは集合です。また なので でもあります。このことから は無限樹となるので、上の補題により は無限系譜となります。これは によって一意に定まります。これを と書いておくことにしましょう。(続く)
*1: です。