様々な収束の概念(その 2)

(S,\mathcal{M},\mu) を測度空間とします。S 上の実(または複素)数値関数の列 f_1,f_2,\ldots と、ある f に対して、それぞれ以下のような収束の概念が定義できます。

ほとんどいたるところ収束

A=\{s\in S|f_n(s)\not\to f(s)(n\to\infty)\}
の測度が 0、すなわち \mu(A)=0 のとき、\{f_n\} は f にほとんどいたるところ収束すると言います。ルベーグ積分論では頻繁に使う収束の概念です。特に \mu(S)=1 となる測度空間のことを確率空間と言いますが、確率空間においては「概収束」という言葉を使います。

測度収束(漸近収束)

任意の \delta>0 に対して \lim\limits_{n\to\infty}\mu\{|f_n-f|\geq\delta\}=0
が成り立つとき、\{f_n\} は f に測度収束(または漸近収束)すると言います。確率空間においては「測度収束」の代わりに「確率収束」という言葉を使います。
これらの収束概念は、主に確率論で強力な力を発揮します。特に大事な性質として「概収束すれば確率収束する」というものがあります。