引き続き R は単項イデアル整域とします。*1
前回定義した に関するいくつかの性質を調べておきましょう。まず、有限生成 R-捩れ加群の完全列
があったとき、 を示します。
f が単射なので が、また g が全射なので が成り立ちます。よって
と表したときの r の素元分解
に対応して
と直和分解します。
そこで、各 に対して
とおきます。すると f が単射ですから も単射です。そして のとき となる が存在するので
となり、 がわかります。
次に のとき となる が存在するので
となり、 がわかります。各 i に対して なので
となり、必然的に となり、 です。よって は全射です。
また、 とするとき で となるものがただ一つ存在します。ところで となる が存在するから
となって となり、 がわかります。従って がわかります。従って、完全列が
の場合に事実を示せば十分であることがわかります。しかし、このとき、加群の長さの性質から明らかに
が成り立ちます。よって
となります。*2このことからすぐにわかることとして が導かれます。(続く)