Noether 環は、それを係数とする多項式環と同型ではない

いろいろな人からヒントをいただいたりアドバイスをいただいたりしましたが、最終的にぽけっとさんのアドバイスが決定打になって、ようやく解決しました。しかし、準同型定理を失念するとは衰えた…。

A を Noether 環とし、A 係数の多項式環を A[X] とする。A[X]\stackrel{\sim}{=}A と仮定する。I_1:=(X) とおくと、自然な同型 A\stackrel{\sim}{=}A[X]/I_1 が存在するから、同型写像 f_1:A[X]\to A[X]/I_1 が作れる。
\pi_1:A[X]\to A[X]/I_1 を自然な射影として
I_2:=\pi_1^{-1}(f_1(I_1))
とおくと、I_2\supset I_1 (真に含む)。
f_1 によって同型
A[X]\stackrel{\sim}{=}A[X]/I_1\stackrel{\sim}{=}(A[X]/I_1)/f_1(I_1)
が導かれるが、最後の部分は \pi_1:A[X]\to A[X]/I_1 に対する準同型定理から A[X]/I_2 に同型である。したがって同型写像
f_2:A[X]\to A[X]/I_2
が作れた。
この手順を帰納的に繰り返すことで、A[X] の ideal の真の無限昇鎖列
I_1\subset I_2\subset\dots\subset I_n\subset\dots
が出来上がり、A[X] が Noether 環である(Hilbert の基底定理 !)ことに矛盾する。よって A[X]\not{\stackrel{\sim}{=}}A.