Hom の左完全性の逆について(その 3)

前回の続きです。

(定理 2 の証明続き)
十分性について
(i) g全射であること
N=M''/{\rm Im}(g) とおき、自然な準同型 \pi:M\to N を考える。このとき
g^*(\pi)=\pi\circ g=0
である。g^*単射だから、これより \pi=0 となり、M''/{\rm Im}(g)=0、すなわち {\rm Im}(g)=M'' を得る。
(ii) {\rm Im}(f)\subset{\rm Ker}(g) であること
任意の h\in{\rm Hom}_R(M'',N) に対して
h\circ g\circ f=f^*\circ g^*(h)=0
である。よって特に N=M'',h={\rm id}_{M''} とおけば g\circ f=0 を得る。
(iii) {\rm Im}(f)\supset{\rm Ker}(g) であること
N=M/{\rm Im}(f) とおき、自然な準同型 \pi:M\to N を考える。このとき
f^*(\pi)=\pi\circ f=0
だから \pi\in{\rm Ker}(f^*)={\rm Im}(g^*)。よって
\varpi\circ g=\pi
を満たす \varpi\in{\rm Hom}_R(M'',N) が存在する。したがって
{\rm Ker}(g)\subset{\rm Ker}(\pi)={\rm Im}(f)
を得る。

以上が Atiyah - MacDonald による、Hom の左完全性とその逆の証明です。最初に触れたとおり、別証明もあるのですが、私自身がきちんと理解したうえで掲載したいので、この話題については一旦切り上げることにします。