和に関する性質
前回定義した自然数の和に関する性質を見ていきます。
(1)
なので、 となることを数学的帰納法で示します。まず です。次に とすると
となって が成り立つので、数学的帰納法により となります。これは、 が恒等写像であることを意味しています。
(2)
のときは (1) によって明らかです。
、同様に ですから が成り立てば が成り立つことがわかります*1。
(3) (結合法則)
を示します。実際
であり、 とすると
なので数学的帰納法により です。
よって
となります*2。
(4) (交換法則)
は既に示しました。数学的帰納法の仮定により が成り立つとすると、*3が成り立つことから
となるので、 が示されます。特に
です。また、(2) と (4) を合わせて考えると
が成り立ちます。これは が単射であることを示しています。
(5)
これは (2) と (4) を用いて
として示せます。結論の式で等号が成り立つのは の場合に限ることは、(2) から明らかです。
に演算をこめて考えるとき、これを と書くことがありますが、今示したことは、代数系 が、0 を単位元とする可換な単位半群であることを意味しています。実際、我々は、自然数とはそのようなものである、という認識があったはずですから、これによって、自然数の和は完全に再現されたことになります。