和・積・べき乗の定義
さて、前回証明した帰納定理を使うと、 と で定まる写像 に対して
を満たす写像 が一意的に定まります。この のことを と書き、 と の和と言います。
さらに、この に対して
を満たす写像 が一意的に定まります。この のことを または *1と書き、 と の積と言います。
もう一度、今度は に対して
を満たす写像 が一意的に定まります。この のことを と書き、 の 乗と言います。
さて、和・積・べき乗の定義は出来ました。今度はこれが、私たちがよく知っている性質を満たすことを確認しないといけません。演算の定義が出来ても、その性質が私たちの知っているものと違っていては、演算を再現したことにはならないからです。
それを確認するために、一つ一般的な話をすることにします。
対応の合成は結合法則を満たす
を対応とします。ここで
ですから、 が成り立つことがわかります。これが対応に関する結合法則です。写像は対応の一種ですから、写像についても同じように結合法則が成り立つことがわかります。
*1:ここで使っている の記号は、集合の直積を意味するものではありません。