今回はゲーム理論において有名な例の一つ「囚人のジレンマ」を紹介します。
以下のルールの下で行われるゲームを考えます。*1
- プレイヤーの数は 2
- 二人のプレイヤーの利得の和は一定とは限らない
- 各プレイヤーは二人の合意に基づく協定によってではなく、独立に、自分の取るべき戦略を決定する(非協力)
- 各プレイヤーが一つの戦略を提示することによって、このゲームの一つのプレイが終了する(ゲームは 1 回限り)
- 各プレイヤーの持つ純戦略の数は有限
- 先手後手の区別は予め決まってはいない
今、A の利得が x 、B の利得が y であることを (x,y) で表し、A の純戦略を 、B の純戦略を で表すことにします。それぞれが選択した戦略と、両者が得られる利得が以下の表のようになっているとしましょう。
B が と のいずれの戦略を選択すると仮定した場合でも、A は戦略 を選択する方が利得が大きく(もしくは損失が少なく)なります。同様に、B も戦略 を選択する方が得策です。従って、A は戦略 を、B は戦略 を選択することになり、両者共に - 1 の利得(= 1 の損失)となります。
実はこの結論こそが「囚人のジレンマ」です。もし両者が協力することが出来れば、A は戦略 を、B は戦略 を選択を選択して共に 2 の利得を得ることが出来るにもかかわらず、それが出来ないために両者とも敢えて自分が損をする戦略を選択せざるを得ない状況に陥ってしまっているのです。これは非ゼロ和ゲームでのみ起きる特異な現象です。
*1:1 〜 3 の条件を満たすゲームを非協力非ゼロ和 2 人ゲームといいます。