加法定理 = 回転の合成

前回は指数法則に基づいて三角関数の加法定理を導きました。今回は別の視点からこれを導いて見ましょう。
座標平面上で、原点を中心とする回転を考えます。このとき

原点を中心とする、角度 x の回転と角度 y の回転の合成は、原点を中心とする角度 x + y の回転である

ことは、ほぼ明らかです。これを行列で表すと
\begin{pmatrix}\cos(x+y)&-\sin(x+y)\\\sin(x+y)&\cos(x+y)\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\cos y&-\sin y\\\sin y&\cos y\end{pmatrix}\begin{pmatrix}\cos x&-\sin x\\\sin x&\cos x\end{pmatrix}
となります。この右辺を具体的に計算することで、やはり加法定理が導けます。これはまさに幾何学的な直観に基づく証明です。
逆に、解析的に加法定理を導くこともできますから、この直観はまさに「ものの本質」を捉えていることになります。