数学用語の難しさ

数学用語は何かと難しいものです。
例えば、単に「体」と言うと、乗法の可換性を仮定することがほとんどで、乗法が可換でないものは「斜体」と呼んで区別するのが最近の傾向です(稀に「可換体」「非可換体」と区別する人もいますが)。
ところが、単に「環」と言った場合は、乗法の可換性を仮定しないのが、むしろ一般的になっています。
なぜこのような、一種の「逆転」現象が起きているのか、詳しくは知りませんが、「体」の具体例はそのほとんどが積に関して可換であるのに対して、「環」の具体例としては、行列環、あるいは非可換群に対する群環のような、非可換なものも十分に多く存在することから、そのような現象が起きているのではないでしょうか。