、また を の領域*1とします。今、 上の複素数値関数*2 で、 が有限となるようなものの全体を と表すことにします。
が 上のほとんどいたるところで一致*3するとき、同じことですが がほとんどいたるところ 0 となるとき と定義します。これは同値関係になるので、この同値関係による商集合 を と表します。この は
をノルムとするバナッハ(Banach)空間になります。ここで、次の定理が有名です。
- 定理(Hölder's inequality)
- とする。 ならば かつ が成り立つ。
この不等式は、単なる値の評価以上の意味を持っています。
今、p , q が上の定理の条件を満たしているとき、 を一つ固定すると
なる線型写像が定まります。これによって、 から への線型写像が定まり、なおかつ単射であることがわかります。その意味で、 とみなせるのですが、実はこの包含関係、ぴったり一致します。つまり、 なのです。
このように、ある関数空間の双対空間が、また具体的な関数空間とみなせるというのは、極めて珍しいことです。