四元数と八元数

id:elb_phys さんの日記より。

四元数(クオータニオン)は非可換なので環。
八元数は非可換、結合法則を満たさないので環でもない

ハイ、そのとおりです。しかし、はてなのキーワード解説にもあるとおり、任意の 0 でない四元数は積に関する逆元を持ちます。つまり、積が可換でないこと以外は体と同じ性質を持っています。このようなものを「斜体」と言うこともあります。
ちなみに、四元数の生みの親はハミルトン(Hamilton)ですが、ハミルトンは初め、複素数を 3 次元に拡張することを考えていたそうです。そして

ある朝、朝食の時息子に「複素数を 3 つの次元に拡張するアイディアは出来たの ?」と聞かれ、まだだと答えて散歩に出た。ある橋にさしかかった時に 3 でなく 4 にすればうまくいくことを閃いて積の規則を橋に書き留めた。その書き込みが今でも残っているらしい。
(はてなのキーワード解説より引用)

なんだとか。息子の何気ない一言がなかったら、四元数は存在しなかったかも知れない(ってのは大げさかな ?)のです。偉いぞ、ハミルトンの息子。
八元数の生みの親はケーリー(Cayley)。積について結合法則が成り立たないので、環ですらないのですが、なぜか「(Cayley の)八元数体」と言われることがほとんど*1です。慣例とはおそろしや。

*1:理由は零元以外が積に関する逆元を持つためです。