面積が無限大で、回転体の体積が有限になる例

\displaystyle\int_1^\infty\frac1x dx=\lim_{R\to\infty}\displaystyle\int_1^R\frac1x dx
は有限の値に収束しないことで有名です。これは、閉領域
D=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2|x\geq 1,0\leq y\leq\frac1x\}
の面積が無限大であることを意味します。
ところが、この領域を x 軸を中心に回転した回転体の体積 V を求めると
V=\pi\displaystyle\int_1^\infty\frac{1}{x^2}dx=\pi
となり、何と有限(!!)になってしまいます。これはトリチェルリ*1が 1644 年に見つけたもので、無限に伸びる立体が有限の体積を持つことから、当時としてみればかなり衝撃的な発見だったようです。この回転体は "Torricelli's trumpet" または "Gabriel's horn" と呼ばれています。
参考サイト : Torricelli's Trumpet or Gabriel's Horn
なお、この例は、広義積分が考えられた最初の例でもあるそうです。

*1:Evangelista Torricelli(1608-1647)

Torricelli's trumpet の表面積

Torricelli's trumpet は体積は有限確定であることは先程見ました。では表面積は、特に、y=\frac1x のグラフの x\geq 1 の部分を x 軸を中心に回転させてできる曲面の面積はどうでしょう。曲面積を S とすると
S=2\pi\int\limits_1^\infty y\sqrt{1+{y'}^2}dx>\int\limits_1^\infty\frac1x dx=\infty
となり、曲面積も無限大となります。無限に伸びる立体で、表面積も無限大なのに、体積は有限。ちょっと(かなり ?)不思議です。